学資保険が受けるマイナス金利の影響を解説!気になる返戻率や保険料の値上げも検証

2016年2月より、日本ではマイナス金利政策が始まり、銀行預金はもちろん各種金融商品への影響が気になる方も多いのではないでしょうか。

お子様がいる家庭では、「学資保険にはどんな影響があるの?」と考える方も少なくないはずです。

そこで、マイナス金利がもたらす学資保険への様々な影響について、調査してみました。

この記事では、

  • マイナス金利が学資保険にどんな影響をもたらすのか
  • マイナス金利の影響を受けた学資保険の事例
  • 学資保険以外での教育費の準備方法

について解説します。

この記事を読んでいただけましたら、マイナス金利の現代において学資保険に加入すべきか否か、また学資保険以外の教育費の準備方法について理解でき、将来への備えの一助となるはずです。

是非、最後まで記事をご覧ください。

マイナス金利が学資保険にもたらす影響を解説!販売停止された学資保険も?

学資保険はマイナス金利により、具体的にどんな影響を受けているのでしょうか。実際に生じている影響や懸念される影響について、解説します。

そもそもマイナス金利政策とは?なぜ学資保険に影響がある?

まずは、そもそもマイナス金利とは何なのかを確認しておきましょう。

日本銀行のHPでは、以下のように紹介されています。

  • 大規模な金融緩和政策の一環
  • 目的はデフレ脱却
  • 銀行の日銀に対する金利がマイナスになる
  • 個人の預金金利がマイナスになるわけではない

簡単に言えば、銀行が日銀にお金を預けていても、マイナス金利により預金が減ってしまう、だから積極的に民間に投資していきましょう、ということです。

すると、景気回復やデフレ脱却につなげることができるのです。

では、マイナス金利はなぜ学資保険に影響を及ぼすのでしょうか。

それは、金利の動向を見ながら金融庁が決定する利率(標準利率)に基づいて、保険会社が保険商品の予定利率や保険料を設定するためです。

マイナス金利の導入により、元々1%だった標準利率は0.25%にまで低下をしました。

例えば100万円を1年間運用したと仮定しましょう。

すると、金利が1%と0.25%の場合で以下のような違いが出てきます。

金利

1%

0.25%

利子収入

1万円

2500円

保険会社の経営は、基本的には加入者からの保険料及びその運用収益により成り立っています。

その運用収益が減益となるので、必然的に学資保険を始めとする各種金融商品にも影響が生じるのです。

保険料が値上げされる場合も

マイナス金利の導入により、基本的には経済が活発化するなど、好影響が期待されます。

しかし、残念ながら学資保険などの貯蓄性の高い商品は、逆に負の影響が出やすいのです。

加入者にとって、一番分かりやすい負の影響が、保険料の値上げです。

学資保険の保険料は、標準利率によって左右されます。

  • 標準利率が高い:保険料は安い
  • 標準利率が低い:保険料は高い

もう少し詳しく説明すると、以下のような流れで保険料は決められます。

  1. 標準利率により、予定利率が決まる
  2. 予定利率により、保険料が決まる

実際には、予定利率以外にも予定死亡率や予定事業費率によっても、保険料は左右されます。

しかし、予定利率が保険料を決める重要な要因であるという認識は間違っていません。

マイナス金利の影響によって、標準利率は低下しました。

保険会社が資産を運用しても、マイナス金利適用以前よりは運用収益を得られなくなったのです。

しかし、保険会社としては、加入者に対して各種祝い金や満期返戻金の払い戻しなどを行わなければなりません。

そのため、その資金を作るためにも、新規で学資保険に加入する人に対しての保険料を上げる措置を取る必要があるのです。

以上のような理由で、学資保険の保険料は値上げとなり、新規加入者にとっての大きな負担となります。

返戻率が下がる場合も

保険料の値上げとともに、懸念されるのが返戻率の低下です。

貯蓄性商品である学資保険は、毎月保険料を積み立て、満期を迎えると返戻率に応じた払い戻しを受けることができるという金融商品です。

また、中学入学、高校入学などの節目に応じて祝い金を受け取ることができるという商品もあります。

例えば、返戻率が110%で、毎月1万円ずつ100か月間積み立てる学資保険があったとします。

この場合、満期返戻金は  100万円×110%=110万円 となります。

節目で祝い金を受け取る場合でも、返戻率が110%なのであれば、合計で受け取る払戻金は同じく110万円です。

返戻率は、その商品販売時の標準利率が大きな決定要因となり、

  • 標準利率が高い時→返戻率は上昇
  • 標準利率が低い時→返戻率は低下

という動きを見せます。

マイナス金利の導入により、標準利率はそれまでの1%から0.25%へと大きく低下しました。

0.25%の標準利率が適用された2017年4月からは、多くの学資保険において、標準利率と連動するように返戻率も低下することになったのです。

保険会社も営利企業ですから、利益を出せないような商品は販売しません。

今後も安定して経営をしていくためには、返戻率の低下という措置を取らざるを得ないのです。

現在は、返戻率が100%を切るような学資保険も少なくありません。

マイナス金利の影響を受けた学資保険を紹介

ここまではマイナス金利の導入による、一般的な学資保険への影響について説明しました。

ここからは、具体的に各社の学資保険にどんな影響があったのか、紹介します。

販売停止になった学資保険

マイナス金利の影響を受け、学資保険を販売停止するという措置を取った保険会社もあります。

保険会社 商品名 対象プラン 時期
アフラック 夢みるこどもの学資保険 全プラン 2016年4月
かんぽ生命 はじめのかんぽ 保険料払込免除なし型 2016年6月
ソニー生命 学資保険スクエア 全型 2016年12月
明治安田生命 つみたて学資 5年払込済のみ 2016年10月

上記の保険会社は、マイナス金利の導入決定後、順次学資保険の販売停止を発表しました。

特にソニー生命の「学資保険スクエア」は、圧倒的な返戻率の高さが評判の人気学資保険だっただけに、残念がった親御さんも多かったことでしょう。

なお、アフラックの「夢みるこどもの学資保険」やソニー生命の「学資保険スクエア」については、その後販売再開が発表されています。

また、マイナス金利の影響は学資保険だけに留まりません。

ほかにも、住友生命、太陽生命、日本生命、第一生命、AIG富士生命、メットライフ生命などの保険会社が販売していた貯蓄性金融商品については、販売停止の動きが見られました。

このことからも、マイナス金利は貯蓄性商品に大きな打撃を与える政策だということがよく分かります。

保険料が値上がりした学資保険

マイナス金利の導入を受け、販売停止にはしなかったものの、保険料を値上げするという措置を講じた保険会社もあります。

朝日生命の「えくぼ」に加入した事例をシミュレーションしてみましょう。

  • 契約者:35歳男性
  • 払込期間:22年間
  • 合計払戻金額:330万円

「えくぼ」では一定の年齢に達すると、以下のように学資金を受け取ることができます。

年齢 4歳 6歳 9歳 12歳 15歳 18歳 22歳
割合 3.0% 6.1% 6.1% 9.1% 15.1% 30.3% 30.3%
学資金額 10万円 20万円 20万円 30万円 50万円 100万円 100万円

このプランについて、月々の保険料の支払いは以下のように改訂されました。

時期 2017年10月2日以前 2017年10月3日以降
月々の保険料 1万6058円 1万6654円

1か月当たり596円、全期間合計で15万7344円という値上げです。

また、返戻率についても値上げ前は約78%だったのが、値上げ後は75%へと低下しています。

このほかにも、

  • 明治安田生命
  • 日本生命
  • ソニー生命
  • フコク生命
  • 第一生命
  • JAこども共済
  • アフラック
  • かんぽ生命

など、多くの保険会社が学資保険の保険料値上げに踏み切っています。

また、保険料の値上げはそのまま返戻率の低下にも直結します。

特に返戻率の下げ幅が大きかったのは、JAこども共済の学資応援隊で、値上げ前は108.9%だったのが、値上げ後は98.3%と実に10.6%も低下しました。

そのほかにも各社5~10%程度の下げ幅となっています。

返戻率が下がった学資保険

月々の支払いの保険料は据え置きにしたものの、最終的な払戻金を小さくするために、返戻率を下げるという措置を講じた学資保険もあります。

例えば、ソニー生命の学資保険は、マイナス金利導入前は120%という驚異的な数値を叩き出していました。

20%の利子が受け取れるわけですから、他の金融商品と比較してもかなりお得度の高い商品だったのです。

しかし、2020年2月現在、ソニー生命の学資保険の最大返戻率は107.2%(年一括払いの場合は108.0%)となっています。

この返戻率自体は、業界でもナンバーワンの数値なのですが、以前と比べると見劣りしてしまう面があるのは否めません。

また、返戻率を下げた商品は、100%を下回り、元本割れになっているケースも少なくありません。

アフラックやかんぽ生命の学資保険は、その代表例の1つです。

返戻率が100%を下回る学資保険の場合、赤ちゃんの将来的な教育資金を貯蓄するという本来の目的を果たすことができなくなるのでおすすめできません。

むしろ、積み立てた金額を一部なくなってしいます。

一方、医療保障が充実していることで、元本割れはしているものの上々の評判を得ている商品もあります。

学資保険に加入する際、特に返戻率が100%を下回る商品を選ぶ際には、様々なシミュレーションを行い、どこがいいのか十分に検討することが大切です。

加入している学資保険への影響はない?

マイナス金利適用後、学資保険は販売停止、値上げ、返戻率の低下など様々な動きを見せています。

以前より既に学資保険に加入していた人は、「自分にも影響があるかも」と不安に思われるかもしれません。

しかし、結論から言えば、マイナス金利適用以前から加入している契約者には、影響はありません。

マイナス金利の影響が生じるのは、マイナス金利適用後に新規で加入する学資保険についてです。

それ以前に既に加入していた学資保険については、契約当時の条件で運用されるので、心配はありません。

そのため、月々の保険料が上がることも、返戻率が下がることもありません。

当初に締結した契約は、期間が満了するまでは変更がないことを前提に結ばれています。

仮に、契約している学資保険が今後販売停止になったとしても、既に加入している場合は満期まで継続することができます。

しかし、2人目の赤ちゃんが生まれたので、1人目と同じプランを契約したい、というような場合に、適用されるのは新たな条件になりますので、その点は注意が必要です。

学資保険の代わりとなる教育費の準備方法も

紹介してきたように、今や学資保険ではなかなか思うように貯蓄はできなくなっています。

では、学資保険の代わりになるような教育費の準備方法はないのでしょうか。

低解約返戻金型終身保険は返戻率が高い?

学資保険の代わりの選択肢として、「低解約返戻金型終身保険」が人気のプランになってきています。

低解約返戻金型終身保険は

  • 一生涯続く死亡保険
  • 保険料を払い込む期間を選択できる
  • 保険料は一生変わらない
  • 解約返戻金を受けられる

などといった特徴がある保険商品です。

一般に、保険料の返還率は、保険料払込期間を満了した後に100%を超えます。

低解約返戻金型終身保険は、加入者自身が払込期間を選択できるので、子供の年齢に合わせて払込期間を選択すれば、必要な時期に大きな資金を得られるように、調整することもできるのです。

払込期間を短くすればその分、月々の保険料が高くなるという難点はあります。

しかし、その分返戻率が100%を超えるのも早くなるのです。

外貨建て保険も利回りが良い?

学資保険の代わりの選択肢として、外貨建て保険もあります。

外貨と聞くと、「なんとなくリスクが高そう」と感じる方も多いかもしれません。

しかし、口コミでも「日本の保険に比べて返戻率が高い」と評判になっている金融商品なのです。

例えば、ドル建ての終身保険を運用するとしましょう。

アメリカの政策金利は2%台ですから、日本と比較して圧倒的に高い利率になっています。

つまり、運用利回りで見れば、ドル建ての保険を運用した方が効率が良いのです。

また学資保険の代わりに外貨建て終身保険を利用する場合、保険料払込期間を子供の年齢に合わせて設定することができます。

保険料払込期間満了後は100%以上の返戻率になるのが一般的ですので、必要な時期に必要な学資を回収することが期待できるのです。

つみたてNISAやジュニアNISA

教育費を用意するのに、多少のリスクを許容できる場合は、学資保険の代わりにつみたてNISAやジュニアNISAを利用するという選択肢もあります。

つみたてNISA、ジュニアNISAとはそれぞれ以下のような特徴がある金融商品です。

つみたてNISA ジュニアNISA
対象年齢 20歳以上 0~19歳
取引主体者 本人 親権者等
非課税投資枠 年間40万円 年間80万円
非課税期間 最長20年間 最長5年間
非課税対象 一定の要件を備えた投資信託等への投資からの運用益 株式・投資信託等への投資からの運用益
買付方法 積立 一括、積立

ジュニアNISA、つみたてNISAはともに買い付けた資金を元手に、株式や債券に投資し、運用していくという金融商品です。

運用結果次第では、資金が増えることもあれば、減ることもあります。

そのため、契約時点で払戻金額が確定している学資保険と比較して

  • 収益性が高い
  • 安全性が低い

という特徴がある金融商品です。

教育資金に多少の余裕があるというようなご家庭は、つみたてNISAやジュニアNISAを検討してみるのもいいでしょう。

運用益がそれぞれ一部非課税になるという点も大きなメリットです。

まとめ:マイナス金利に負けない学資保険や積立方法で確実に教育費準備を!

マイナス金利がもたらす学資保険への様々な影響について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。

この記事のポイントは

  • マイナス金利が適用された影響で、学資保険は販売停止や保険料値上げ、返戻率の低下といった影響を受けている
  • マイナス金利適用前から加入していた学資保険については、影響はない
  • 子供の教育費の準備方法としては、低解約返戻金型終身保険、外貨建て保険など学資保険以外の選択肢もある

でした。

子供の教育費をどのように工面するかは、夫婦でしっかりと考えるべき大切な問題です。

学資保険以外の選択肢も含めて、様々なシミュレーションを通じて、ベストな選択肢を見つけていきましょう。

学資保険返戻率ランキング.comでは、他にも読んでおきたい学資保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

 

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